難聴・随伴症状の症例報告

急性低音障害型感音性難聴 ステロイド減量後の再発

◎30代女性

来院の10日程前夜中に右耳鳴がし、翌朝よりテレビや子供の声の聴こえ方がおかしいと感じた。
すぐに耳鼻科を受診。右耳、低音部の聴力が低下(50~60㏈くらい)しており、ステロイド服用開始。
2~3日で症状が改善したためステロイドの減量をおこなったが、翌日より症状再発。
ステロイドの服用が怖くなったため違う薬を処方してもらうも症状が改善せず、病院を転院されることになっていた。
他の病院へ転院前に他にできることはないかと当院に来院された。
病院では「急性低音障害型感音性難聴」と診断を受けていた。

治療をした翌日耳鳴りがなくなり、音が響く感じがあったがましになっているとお電話いただいた。
病院を転院されたところ、軽度の難聴と言われたとのこと。ステロイドも再開することになり、病院との治療と併用して来院頂いた。徐々に聴力が改善し、鍼3回目の治療後の聴力検査では全て正常。
ステロイドの減量が始まり、少し聴力が下がるも全て正常域ではあったためさらにステロイドを減量したが、鍼5回目後の聴力検査ではかなり良好。耳鳴、ひびきもなく改善された。

コメント

この方はその後、パニック障害障や肝障害(薬剤性肝障害の疑い)となるなどなかなかご卒業となりませんでしたが、現在は肝臓の数値も落ち着き、合う薬が見つかったのもあり、不安感、不眠も改善されています。たくさんストレスがかかってしまい、耳が再発しないかご本人も心配されていましたが、全く再発はなく、むしろ聴力がどんどん良くなっています。現在はご本人に来院されたい時にきて頂いておりますが、日常生活も問題なく過ごせるようになっており、順調に回復されています。
発症から比較的早期に来院頂いたこともあり、耳の方は早期に改善頂けたのではないかと思います。

急性低音障害型感音性難聴疑い

◎30代女性

1ヶ月ほど前より左耳が聴こえにくいような感じがあった。来院10日前に耳鼻科受診、左耳の低音が聴力低下していた。ステロイドを服用し一度聴力が回復したもののすぐにまた低下してしまった。ステロイドを中止し、イソバイドへ薬が変更になったが症状に特に変化がみられず、他にできることはないかと来院された。鍼治療翌日の聴力検査で正常域まで改善され、3回目の治療後の検査では健側と同じにまで回復。耳閉感、補充現象が残っていたためその後2回治療へお越し頂き、そちらの症状も改善頂けた。

 

低音障害型感音性難聴(患者2)オージオ低音障害型感音性難聴(患者2)オージオ改善

左)来院前  中央)初診治療翌日  右)初診治療の4日後
※病院でコピーをもらえていないが、この後全ての音域で健側と同じくらいまで聴力が改善されています

コメント

来院時は特に症状が強く出ておられ、とてもお辛そうでした。一度改善されたあとまた悪化してしまったことでかなり不安を感じられているようでした。藁にも縋る気持ちで来ましたと言われていたことを覚えています。
発症から比較的早期に来院頂けたこともあり、とてもスムースに改善頂けたのだと思います。また何か不調を感じられたらすぐ連絡頂くようお話しし治療終了となりました。

動揺性眩暈を伴った両耳難聴(メニエル疑い)

◎60代男性

4年前に回転性めまいがおこり嘔吐、すぐ病院を受診したところ右耳難聴が判明し、突発性難聴と診断された。ステロイド治療を1週間おこない、聴力は少し改善。その後2年前に聴力がかなり改善したがまた1年前に聴力が低下。回転性めまいは1年に1回ほどおこっていた。
1週間前に今度は左耳が不調となった。音割れがするため耳鼻科を受診したところ低音に聴力低下がみられた。ステロイドの服用と併用して鍼へ来院された。音割れはすぐにおさまり、自声強調は発症当日のみあった、耳閉感は右耳の方が強く、人混みでは聞きた音が判別できず苦痛という状態だった。また、疲れた時に動揺性のめまいがあり、入眠困難もありめまい止めと安定剤も服用されていた。
右耳の聴力が2年前に急に改善したことがあるため、両耳の治療をおこなうこととした。
治療開始後、左耳の聴力は正常値まで改善したが、右耳の聴力は変化しなかった。聴力の固定とみて、計15回の治療で終了となった。聴力以外の症状に関しては、耳閉感はあるものの普段きにならない程度となり、動揺性めまいも消失、徐々に薬を減らすことができ、めまい止めと安定剤の服用がなくてもよい状態となった。

コメント

左耳は早期に来院頂けたため比較的スムースに改善頂けました。治療に来られてから徐々にめまいが落ち着かれ、よく眠れるようになり、イライラすることも減ったとお話しくださいました。薬をたくさん服用されていたので薬が減ってうれしいと喜んで下さり、私も嬉しかったです。両耳が難聴になり、その上めまいもあり、かなり精神的にお辛かっただろうと思います。右耳の改善はできず残念でしたが、少しでも症状を減らすことができて良かったです。

突発難聴発症後に残った耳閉感

◎50代女性

1年半ほど前に突発難聴発症。低音が左右ともに落ちたが、左の方が悪かった。ステロイドの服用で聴力は改善されたものの左耳の耳閉感のみ残った。約10か月後に耳閉感が急に強くなったが血流改善の薬の服用のみで普段の状態に戻っていた。
来院10日前にまた耳閉感が強くなった。今回も薬を服用したが改善がみられず、首肩のこり痛みが強いためこちらもなんとかしたいと来院された。聴力の低下はなく、他の耳症状はみられなかった。耳閉感は朝と就寝前が強い。もともと飛行機下降時に耳の痛みが強くでる。子どものころに副鼻腔炎を何度もしていた等のお話しをお聞きし、耳管狭窄症も可能性があるのではないかと考え治療をおこなった。

治療は1週間に1回以上の頻度で行った。治療開始から徐々に症状が改善され、日中はほぼ気にならないとのことだったため計5回の治療で終了とした。

コメント

ご本人さんより、完全に治らなくてもいいが以前までの状態には戻したいとお聞きしていました。1年たっているので確かに完全に耳閉感をとるのは難しいです。ですが今回は悪化してからすぐに治療に来て頂いていたのですんなりと改善頂けたのだと思います。最終日に患者さんと相談し治療を続けるかお話ししたところひとまず様子を見てみることとなりました。耳閉感はとても不快な症状です。なかなか理解してもらいにくい症状でもあるのですが、ひどい方は人と話すのが本当に苦痛になります。いつも楽しくお話し頂いていたので改善頂けて本当に良かったです。

両側難聴と耳管開放症

◎70代女性

5年前より左耳閉感があったが聴力検査はせず、放置していた。1年ほど前~耳閉感が強くなり、自声強調、耳鳴、補充現象が出現。体重が10キロほど減ってしまった。耳鼻科にて検査したところ左耳は聴力が低下しており、症状から耳管開放症と診断され、漢方服用など治療を受けるが改善しなかった。さらに1ヶ月前より右耳の聴力も低下してきていた。左耳の聴力改善はおそらく5年前よりと考えられるため改善は難しいとお話しした。右耳の聴力改善と、自声強調などの症状の改善を目的に治療をおこなった。
治療を開始し、徐々に自声強調がおさまり、治療10回後には全く感じなくなっていた。左耳の聴力はやはり変わらなかったが右耳の聴力は少しずつ改善し、ほぼ正常値まで回復した。計16回の治療で聴力固定となり、自声強調がなくなり日常生活も問題なく過ごせるとのことで治療終了とした。

コメント

鍼治療を開始してから、唾液が良く出るようになり、また耳の症状が軽減されたことで人と話すことが苦痛でなくなったと喜んで頂いた。ご飯もおいしく食べらるようになり、たぶん体重が増えてきたと思う、、と笑いながらお話しくださいました。自分の声が響くという症状は、想像以上に苦痛なものだと思います。そのため精神的に追い詰められる方も少なくありません。笑顔で治療が終了でき本当に良かったです。

耳管開放症

◎40代女性

来院3ヶ月前~両耳にこもり感、自声強調。耳鼻科にて耳管開放症と診断を受けた。聴力、鼓膜ともに検査は正常。
漢方と鼻炎の薬を処方されるが改善がみられず、仕事が忙しくなると症状が悪化していた。首肩こりもかなりきつく、ひどいときは腫れあがる感じがするとのことだった。
耳周りの血流改善に合わせ、首肩のこりもしっかりほぐすように治療をおこなった。少し症状が改善しては、仕事でまた悪化するという状態を繰り返しつつ徐々に症状が弱くなっていった。仕事中に少し症状が出るがすぐにおさまるようになり、普段の生活では気にならなくなったとのことで計15回で治療終了とした。

コメント

初めて来院されたときには、仕事後に身体がしんどく症状がきつくなるため寝込んでしまうこともあるとお話しされていました。ご主人もかなり心配されていました。鍼後のだるさも出やすかったので、毎回刺激を微調整しながらの治療となりました。ご本人も症状の変化を細かく伝えてくださり、約3ヶ月間通院を頑張ってくださいました。現在治療は一旦終了となりましたが、仕事が肉体労働でもあるため体のケアとして月1回ほど来院されています。